マンチェスター・バイ・ザ・シー

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  • 通常 マンチェスター・バイ・ザ・シー (sugio, 2017/10/4 10:19)

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sugio

通常 マンチェスター・バイ・ザ・シー

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前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿なし | 投稿日時 2017/10/4 10:19
sugio  長老   投稿数: 204
予備知識を一切持たずに観たのだけど、淡々と変わりゆくシーンの時間軸を把握するのにちょっとだけ時間がかかった。
徐々にリー(ケイシー・アフレック)が抱える悲惨な過去が明らかになってくるあたりからグッと興味をそそられ目が離せなくなる。

心底に喪失感が常に横たわっている。それでも日常は止まる事なくそれぞれの複雑な様相を含みながら流れて行く。たまにクスッと笑えるシーンで空気が柔らかくなった気がした。

警察官が言う「君の過失は重大だが、誰でも犯すことだ。スクリーンの立て忘れは犯罪じゃない」の言葉が心に刺さる。
ほんのちょっとした過失が、人生を一変してしまう。どこにでも転がっている日常的な落とし穴、頭では理解できても、失ったものがあまりにも大きく、辛い現実を理屈だけで受け入れる事は困難だ。
過去の様々な出来事が日常の中の心の隙間に浮かび上がり、一歩先に進もうとするリーの気持ちをはばむ。

兄が弟に後見人を託したのは何故だろうと考えた。。。
いつだって弟のことを親身になって気遣っていた、取り返しのつかない深い後悔と傷心でズタズタの弟を故郷に呼び戻し、再生へと一歩踏み出すことを促したかったのか。
そうかもしれないと思う。
母は出て行き、父親を亡くし寄る辺なくなった甥(パトリック)と、衝撃的な事件で生きるすべを無くしている叔父リー。生家で今まで通りに暮らす事で、心細さと不安を乗り越えようとして健気に立ち振る舞っていたパトリックが、冷蔵庫の前でパニック障害を起こすシーンでは涙せずにはいられなかった。
甥と叔父がぎごちなく寄り添うことで、少しずつ頑なに固まり乾ききっていた心が穏やかに解凍し始める。
小さなエピソードを丁寧に淡々と見せる事で、ふたりの気持ちの変化が分かり、時間を経て現実を受け入れて行く様子が伝わってとても良かったと思う。

どんなに頑張っても乗り越えられない事はある。
乗り越えなくても良いという事、ありのままを受容して癒されるという事だってある。リーを演じるケイシー・アフレックは自然体で、どうしようもない悲痛さと虚無感を淡々と演じてとても良かった。

ラストは、ボールを投げ合う姿、ボートで釣りをする後ろ姿がこれからのふたりの関係を暗示していて感動的。
良い映画でした。

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