映画としてはとても面白かったと思います。
最初から最後まで、なんだこれ?と違和感感じることもなく、作品の中に入り込んで観ることができました。
出演者は、クラスの委員長みたいな子、橋本愛は良かった。
あとは残念ながら普通に無難に。
橋本愛以外は、とり立てて褒めちぎるほどじゃないです。
それでも今年度の邦画の超話題作として残ることは間違いないと思います。
もっとトンデモナイことになっているのかと思いきや、淡々として、なお且つエンターティンメントとして立派に成り立っていて、とても不思議な作品だと感じました。
ただ、作品としての幅はないです。
観る側に余裕を持たせるとか、考える余地を与えるようなものはないです。
物語としての抒情性は感じませんでした。
映像としての抒情性はありましたが。
どういうことかというと、この作品から命の重さ、母子の絆であるとかを思い、考えることはない、ということです。
だからといって悪い、とは思いません。
この映画に流れる重みと軽さが、すごく良いバランスをとっているのだと思います。
重くも軽くもない、という。
心に深く残ることはないけれど、映画としてはとっても面白い作品だと思いました。
そうそう、出演者の中で少年Aの母親役、どこかで見た人だ・・・と思っていたらコンテンポラリーダンス集団BATIKの黒田育代だった!
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永六輔がエッセイの中で、岸田今日子が講演の中で「なんのかんのといっても、母親は自分の子供が一番かわいいのです」といって拍手喝采を浴びたというエピソードを紹介しています。
まさに「自分の子供が一番かわいい」ことを、証明している映画でした。自分の子供が理不尽な死に方をしたとき、親としてどう対処するのか?答えはそれぞれだと思います。
この映画で主人公がとった行動を非難することは簡単だし、認めること簡単だと思います。
「死刑廃止論」に反対の立場をとる私は、この映画の主人公の行動を認めます。
「命の重さを奪い取った人間に、命の重さの意味が分かるのでしょうか?」分かることは、すくないと思います。
だからこそ、この映画はR12くらいで後悔してほしかったと思います。「命を奪うこと」「いじめること」、人間の尊厳を冒す行為がいかに罪深いことかを、もっともっと理解せねばならないと思います。
松たか子、よかったです。無表情のまま語っていくシーン、私は感動しました。主演女優賞争いが、面白くなってきました。
犯人役の中学生の男の子二人は、ちょっと荷が重すぎたかなという機がしました。ちょっと、演出に押されてしまったという印象が残りました。
最後の爆弾シーン、「はったりかもしれない」と思った私はまだまだ甘ちゃんなのでしょう。
大人の知性の勝利だと思いました。