魔法少女まどか☆マギカ 前・後編

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前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿なし | 投稿日時 2012/11/26 10:16 | 最終変更
hiro  管理人   投稿数: 219
 「ハッ、君は本当に神になるつもりかい?」
 「神さまでもなんでもいい。今日まで魔女と戦ってきたみんなを、希望を信じた魔法少女を、私は泣かせたくない。最後まで笑顔でいてほしい。それを邪魔するルールなんて壊してみせる、変えてみせる。これが私の祈り、私の願い。さあ、叶えてよっ」。

 悪魔はひそかに忍び寄る。決して悪魔の姿をしたままで近寄ってはこない。猫に似たキュゥべえという謎の生物は少女たちに契約を持ちかける。「君の願いを一つだけ叶えてあげる。その代わり、魔女と戦わなくてはいけないよ」と。魔女は人に絶望をもたらす存在で、人の死や不幸や災厄にはすべて魔女がかかわっている。前編の序盤を見ながら、「異界からの侵略者と戦う少女戦士たちの話」と思ってしまったのだが、その後はこちらの想像をはるかに上回る展開だった。

 日本のアニメーションで「魔法使いサリー」あたりから始まり、綿々と作られてきた魔法少女という枠組みを逆手にとって、作者たちは緻密にそしてダイナミックに物語を構築している。キュゥべえのショッキングなセリフで締めくくられる前編は情報量が多く、上映時間も2時間10分と長いため見終わるとグッタリするが、話はとても面白く、引き込まれる。元がテレビアニメなので、各回のクライマックスを次々に見せられる感じがあるのだ。引き込まれて集中しすぎたたために起こる疲労感なのである。後編は物語のネタ晴らしと解決だ。絶望的で逃げ場のない状況に閉じ込められた少女たちを救う手立てはあるのか。作者たちはあらゆる可能性を否定してみせ、主人公のまどかは最後にこれしかないという解決策、すべての呪縛と因果律を断ち切る唯一の方法にたどり着く。

 希望、願い、祈り。幸せを願う人の気持ちを否定するような世界は間違っている。希望を絶望に変えてはいけない。この作品のメッセージはそれに尽きる。魔女の結界の抽象的な描写など技術的に賞賛すべき点は多々あるが、何よりもシンプルで当たり前のメッセージを訴えるからこそ、この作品はとても力強く人の心を動かすのだ。

 元のテレビアニメ全12話は2011年1月から東日本大震災による休止期間を経て4月まで放送された。深夜枠だったので、子ども向けではない。震災の時期に祈りというメッセージほど似合うものはないが、震災に合わせたわけではもちろんなく、元から備えていたものである。

 究極のセカイ系アニメであり、過去の数々のジャパニメーションの傑作群の上に築かれた記念碑的な作品と言える。希望を信じる人、信じたい人は急いで劇場に駆けつけなければならない。
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